先日、農家さんと話している時に思ったことは、日本はいつ経済危機や異常気象が起こって食糧が手に入らない状況になってもおかしくないということ。
みなさん大体小学生の頃にミニトマトを育てたことがあると思いますが、もっとガチめに農業を必須教科にすべきだと思っています。
では、農業をやりたいと思ったらどうしたら良いか?を自分の体験を元に記してみます。
農業フェアに参加することの賛否
今は都市部でも地方でも、農業フェア的な催事が多く開催されていますね。私も農業法人で働いていた頃に行ってみたことがあります。主観的な感想は
- 何の作物を作りたいかを決めていないと話にならない(私はその時決めていなかった)
- 非農家出身、貯金がないと若干塩対応される
上記の理由から、漠然と「農業したいな〜」状態で行くと勿体無い時間を過ごすかもしれません。
展示物を見たり、資料を頂けたりしてそれはそれで良い情報収集にはなるかと思います。
アルバイトで向き不向きを見極める
先ずは、自分が直感的に好きだと思うものに関わる
自分の嫌いな食べ物を育てて楽しいと思いますか?私はそうは思わないので先ずは自分が好きなみかんに関われるアルバイトをしようと思いました。
私が初めて農業アルバイトをした場所は、香川県観音寺市のみかん農園(少しお米と野菜も栽培しています)。
求人は農家のお仕事ナビというサイトで見つけました。
この求人サイトのいいところは、地方の自治体のお試し就農の案内も掲載されている事です。詳しくは別の記事で書きます。
みかん農園で一ヶ月ほどアルバイトをしていましたが、当時は転職のつなぎくらいに考えていました。
その後、たまたまツイッターで高知県大豊町の名産品、碁石茶の生産のアルバイトの求人が流れてきて、寮費が無料であること、発酵茶の生産に興味津々だったこともあり応募し、採用されました。
お茶の生産シーズンは6月〜8月であったため、それが終わったら地元の愛媛に戻り転職活動を再開するつもりでいました。
アルバイトの受け入れをしてくださった農業生産法人では、主に米と野菜の生産も行なっており、お茶の仕事が無い時は畑の管理や作物の収穫をさせてくれました。
そこで初めてまともに「野菜を作るのって楽しいんだ!」と知りました。

ちょうど8月にはよさこいまつりがあったり(チームおおとよで参加しました)、1年間正社員扱いにしていただけたりと高知県にはなんだかんだで2年程住んでいました。
オススメは栽培品目が多めの農業生産法人
もし、野菜農家を目指したいのであればビニールハウス栽培と露地栽培、どちらもやっている職場を選ぶと良いです。季節にも寄りますが様々な作物の栽培に関わることができるので、そこから自分の向き、不向きがだんだん分かってくるでしょう。
農機を使いこなして、広い畑を使いこなす事に楽しみを感じる人もいれば、私みたいにビニールハウスの中でトマトの細々とした管理をするのが好きな人もいます。
また、様々な作業を行なっていくうちに「自分がどれだけの時間でどれだけの仕事ができるか」を把握することが出来ます。これが把握できていないと就農する時に農業経営計画が立てづらいです。
これだけの生活費を稼ぐには、〇〇をこれくらい作って、そのためには農地をこれくらい借りなければいけないな〜という、逆算した作業計画がやりづらいんです。
地域おこし協力隊になるという選択
石川県羽咋市の自然栽培に興味を持った
私は、20代の頃は環境分析の仕事をしていました。
空気なら大気汚染防止法、水なら水質汚濁防止法、土なら土壌汚染対策法などと、人が安全で快適に暮らすために必要な環境基準が定められています。
自治体や都道府県では、定期的に環境基準を満たしているかを測定して発表しています。
社内では主にシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドや、有機リン、PCBなどの農薬、ダイオキシン類の測定を行なっていました。
いろんな部分のいろんな検体を測定していて実際に基準値を上回ることはまずありませんでした。
しかし、様々な測定を行うには試薬を多く使用することもあり、環境を守る仕事のはずなのに実際はたくさんの廃液を出さざるを得ないことにジレンマを感じていました。(廃液は処理機や処理業者にて適切に処理されます。)
試料を取りに海や工場に出向くこともあります。煌く水面を見ては、いつまでもこの美しい景色を守りたいという気持ちが強くなっていきました。
話を戻します。作物を安定的に作るために肥料、農薬が必要だし、普段お店で好きな分だけ野菜などを買えるのはそれらの恩恵を受けているからです。
なので、私の個人的な肥料、農薬への考え方は「肥料も農薬もそれらの性質を十分に理解して使用を必要最小限に留める」です。
しかし、肥料や農薬の生産には大きなエネルギーや地球資源を必要とします。そしてそれらには限りがあります。
それを知った時、単純に「では、肥料と農薬を使わずに農業はできるのか?」という疑問を抱きました。
そして、「自然栽培」という農法があることを知り、ちょうど石川県羽咋市で自然栽培担当の地域おこし協力隊を募集していると知りすぐさま応募しました。
自然栽培は、無肥料・無農薬・無除草剤であることが定義されています。
就農希望者にとっての地域おこし協力隊になるメリット

まず、一つ目は家賃補助や活動に必要な車両の貸出(基本、勤務時間しか使えない場合が多いので自治体担当者に確認してみてください。)、活動経費が支給されることです。
作業に必要な農機具は大体の場合活動経費で賄うことができます。但し耕運機など比較的高価な農機は消耗品として捉えられず却下されることもあります。
その他にも、食品の加工の際必要な食品衛生管理者の受講料や、フォークリフトやユンボ、刈り払い機などの農機の免許や講習の受講料も活動費から捻出できます。
次に、自治体にもよりますが私の場合は羽咋市の臨時職員としての雇用形態になるため毎月給与(大体総支給額で16〜20万円、家賃は別に支給)が支払われます。
もし私が新規就農しようと思った場合、よほどの資金がない限りは農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)の交付を受けることになります。
その際気を付けなければならないのが、経営が上手く行かない、自分が農業に向いてないと思ったなどの理由で離農する場合、交付金の返還が必要になる場合があることです。
制度を利用するにはそれ相応のリスクがあります。
地域おこし協力隊制度を利用したり、前述したように農業生産法人でアルバイトを行うなどで自分の農業への適性を確認しておくとより安心です。
最低限、何を作りたいかを決めてから!
適地適作という言葉があるように、作物にはそれぞれ生産に向いた地域があります。
ブランド化されており出荷先が確保されていたり、部会(トマトやイチゴなど、作物ごとに生産者が集まって生産向上のための技術向上を図ったり、意見交換をしたりする集まり)で技術的なサポートを受けられたりする地域で自分の作りたい作物を栽培するのがベストです。
販路が自分で確保できるのであれば心強いのですが、自分の作りたい作物がその地には適していないのでは元も子もありません。
逆に、この地域がとても気に入って住みたい!ここでは何が名産なんだろう?そこからのスタートもありっちゃアリかと。
家庭菜園にしろ、アルバイトにしろ、雇われにしろ農業は楽しみ方が様々です。友達の中には住み込み収穫バイトをしながら全国を転々としている人もいます。
みなさんが農家さんや農業をもっと身近に感じてくれれば嬉しいです。
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